第12章:「前置詞」とは、

「前置詞」とは、

「前置詞」。英語では Part of Speech (品詞)として Preposition の名が与えられている。文字通り「pre = 前に + position = 置かれる」ということで「前置(ぜんち)」、そして、その「詞(ことば)」であるということで、「前置」に「詞」が付けられて「前置詞(ぜんちし)」と日本語に訳されている。

では、前に置かれるとは、何の前に置かれるのか。それは、品詞として名詞を作り上げる語句の前に置かれるのである。品詞の中で最も多いのは名詞であるから、わざわざ名詞という品詞名に言及する必要はないということで、単に「前置詞」と述べられる。

前置詞が名詞の語句の前に置かれると、名詞の語句に前置詞の持つ意味が加えられ※1、前置詞句が作り上げられる。前置詞が名詞に付け加えられると、前置詞の意味が名詞に加わり前置詞句となり、作り上げられた前置詞句は名詞を修飾する形容詞の役割を果たすようになったり、名詞以外の詞(ことば)を修飾する副詞の役割を果たすようになったりする。(形容詞に関しては、第10章を参照。副詞については、第11章を参照。)

例えば、名詞の語句に in を付けて【 in +[名詞の語句]】にすると名詞の語句の意味に「中の/に/で」という意味が加わり、名詞の語句は前置詞 inの意味が付け加えられたことによって、作り上げられた前置詞句は何かの詞(ことば)を修飾する詞(ことば)になる。

1.前置詞句【 in +[名詞の語句]】の前に名詞の語句があり、この前置詞句が意味的に前の名詞の語句にかかっていくと解釈されれば、この前置詞句は、名詞を修飾するので品詞としては形容詞の役割を果たすことになる。

この場合、[前置詞句の意味]は「~(何々)の中の」という意味になり、「~(何々)の中の(= 前置詞句が表す意味)」+「~(何々)(= 前置詞の前にある名詞の語句が表す意味)」となる。つまり、「~(何々)のなかの~(何々)」となる。

前置詞句は形容詞として、後ろから前の名詞(句)を修飾する

2.この他に、前置詞句【 in + [名詞(句)】が 動詞や文全体にかかっていく場合がある。この場合、前置詞句【 in +[名詞(句)]】は、【[名詞(句)]+の中に/で】という意味になって、動詞や文全体を修飾する。

以前に、名詞以外を修飾する詞(ことば)は、総て副詞であると説明した。依って、この前置詞句は動詞や文全体を修飾するので、副詞の役割を果たしている。 動詞を修飾する場合の構図は、以下の様になる。

前置詞句は副詞として、後ろから前の動詞を修飾する

次に、前置詞句が後ろから動詞を修飾する場合において、動詞と前置詞句の間に名詞(句)があることがある。この並びの場合、文の意味の成立という点から名詞(句)にかかると判断されればこの前置詞句は上記1項で述べた形容詞としての役割を果たしていることになり、同様の点から動詞にかかると判断されれば、前置詞句は副詞としての役割を果たしているとされる。この場合、構図は下記の様になる。

前置詞句は副詞として、後ろから名詞句を飛び越えて前の動詞を修飾する

尚、話者や書き手が、話しの展開として、前置詞句が持つ意味を先に述べたい/書きたいと思った場合は、その前置詞句は動詞の位置よりも前に置かれることがある。

次に、前置詞句が副詞として文全体を修飾する場合であるが、その場合 前置詞句は文の先頭に置かれることが多い。前もって前置詞句が表す意味が、文中で述べようとすることに条件を与える場合である。

前置詞句が文全体を修飾する場合の構図は、以下の様になる。

前置詞句は副詞として、文頭から文全体を修飾する

注:稀ではあるが、副詞として文全体を修飾するこの前置詞句が、文中や文末に置かれることがある。

前置詞は、上記の様に名詞、名詞句に意味を加え前置詞句を作り上げ、作り上げられた前置詞句は、品詞の役割としては形容詞または副詞の役割を担うようになる。これらはひと塊のフレーズ(句)が形容詞または副詞の役割をすることから、形容詞の役割をするものを形容詞句、副詞の役割をするものは副詞句と呼ばれる。

※1  後述するが、前置詞の中には of のように意味を付け加えることなく機能的な役割のみを果たすものもある。後の章で適宜取り上げることとする。)

次の章では、習得して使いこなせるようになるまでには比較的時間が要する「冠詞」について説明します。「第13章:「冠詞」とは、」へどうぞ!

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