第14章:英語の文型

英語の文型

日本の英語教育で私たちは、英語の文には五つの文型があると習う。ほとんどの人はこれに何の疑問も持たずに、英語の勉強を続けて来たのではないだろうか。

さて、この5文型の概念は、一体どこから来たのだろうか?英語を母国語とする人たちは、自国の言語を習うとき、5文型を学習するのであろうか?

上記に対する答えは、ノーである。英語のネーティブスピーカーに、英語の5文型(The Five Cardinal Sentence Patterns)を知っていますかと尋ねても、誰もが知らないと答えるであろう。

さて、上に書いた「英語の5文型の概念は、一体どこから来たのだろうか?」への回答であるが、それは英国の英語学者 C. T. オニオンズ(Charles Talbut Onions)が1904年に編纂したAdvanced English Syntax 内の記述から来たものだとされている。syntax(シンタックス)は、「構文(論)、統語論」と日本語に訳されている。簡単に言うと、「英語の言語においての 語 (words) や 句 (phrases) の並び」を意味する。

オニオンズは、その書の中で、文の述部(predicate)の部分における語の並びについて記している。彼は、述部は下記の5つの型に分けられるとしている。

1. V   2.  VO   3.  VC  4.  VOO  5.  VOC

(V: Verb[動詞], O: Object[目的語], C: Complement[補語])

英国の上記の書は述部の型について述べたものであったが、日本ではその述部の型に主部が必要と考え、主部の中に入る S: Subject[主語]をそれぞれの文型の頭に配置して、文は下記の5つの型から出来上がるとした。

1.V  2.SVO  3.SVC  4.SVOO  5.SVOC

英国では、上記の述部の5文型は、遥か過去の遺物として、今は忘却の彼方のものとなっている。しかし、日本では、それにSを加えた5文型が今もって、まるでそれが英語学習の根幹をなすものであるかのように扱われ、一世紀以上に渡って使い続けられて来ているのである。

一世紀以上の時を経た現在は、英語の文型には7つの型があるとされている。下記の7文型である。

1.SV  2.  SVO  3.  SVC  4.  SVA  5.  SVOO  6.  SVOC  7. SVOA

Aは、Adverbial のイニシャルで、日本語の訳語は「副詞類」となる。品詞の一つとしてadverb(副詞)があったことを思い出して頂きたい(第11章参照)。文の構成要素のレベルで、品詞である副詞と同様の役割を果たすことから、adverbial (副詞類)という名称が与えられている。

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