第5章:言語による「無」の概念

言語による「無」の概念

英語話者にとっての「無」とは、

英語の話者は、「無」という抽象概念を、しっかりと輪郭を持ったものとして認識します。

これに対して、日本語の話者は、「無」という概念を、輪郭を持たない拡がりのあるものとして認識します。

空間の中に何か物が置かれていると、何かがそこに置かれてあることをまず認識します。そして、その後にその物の輪郭が脳裏に入って来て、私たちは視覚的にそれを物として認識します。物理的に手に取って感じ取ることが出来る物として認識します。 英語の話者は、「無」というものに対しても、これと同じ感覚でとらえようとします。輪郭を持った物が目の前にあるが、その物の輪郭の内部は空洞で透けている状態である。「無」をそのようなものとしてイメージします。

日本語話者にとっての「無」とは、

これに対して、日本語の話者は「無」というものを想像するとき、何も物が存在していない空間を想像します。「無」そのものが空間の左右、上下、奥にまで広がっている状態を想像します。「無」そのものが空間全体を占めているので、英語話者の様に輪郭を持った「無」が空間の中に存在するとは考えません。日本語の話者にとっては「無」は漠然とした拡がりのあるもので、周りとの仕切りを持たないものであり、物理的に掴みようのないものなのです。

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